WCK Meeting Vol.57「高知のWeb制作業界ゆく年くる年2017」開催レポート

画像:WCK Meeting Vol.52「レスポンシブあれこれ」登壇の入交さん

2017年12月22日(金)、室戸屋ジローさんを会場に「高知の Web 制作業界ゆく年くる年 2017」が開催されました。毎年恒例になっている高知の web 制作者が一年を振り返り、意見交換をする場です。

今年はパネルディスカッション形式で、事前に用意された9テーマについて、実行委員を中心にディスカッションしました。発言者の話を別の参加者が広げたり、質問が入ったりと、全テーマで熱のこもったやり取りが行われ、2次会まで大盛り上がりのイベントになりました。

「1テーマだけでも数時間話せるのでは!?」「話し足りない!」「聞き足りない!」という意見も多く、2018年の勉強会で改めて機会を作りたいと考えています。

社会に大きな変化をもたらす「インターネット技術」と進化を続ける「Web制作」現場の技術



最初のテーマは、"今、注目している web 技術"。

参加者の中から、「"Web(サイト)"は、オワコンではないかとも思う。"インターネット"の技術革新によって、これからどんな社会が来るのかについてはワクワクしている」という言葉を皮切りに、今年注目を集めたブロックチェーンやトークンエコノミーが社会に与えるインパクトについての話に。

ビットコインを保有しているという実行委員の発言への質問や意見が飛び交い、開始早々、会場はわちゃわちゃになりました(笑)。

話は、web 制作業務の中における注目ワードに移り、「プロじゃなくても制作できる」ツールやサービスの登場により、1から制作しなくても良いのではないか、クライアントにもその選択肢を提示すべきなのではないかという話が挙がりました。

また、マイクロインタラクションについての意見交換では、「ユーザーに気づかれないような細かいことを積み上げて、自然な体験を提供するのがデザイナーの仕事」という発言も聞かれ、フォントカラーやコントラストの話にも拡がりました。



気になっている全国サイト、高知県内サイトは?

続いて、"気になる全国サイト、県内サイト"のテーマでは、大手ITベンチャーが制作している比較系サイトが挙げられ、WELQ問題後にGoogleから評価される比較サイトとして参考になるという紹介がありました。
また、今年、WCKとしては新しい勉強会のテーマであるアクセシビリティという視点から、N○K の番組サイトは幅広いターゲットが閲覧するために、工夫がされているため参考なるという説明がありました。

また高知の観光系サイトが取り上げられ、PCでもモバイルでも見やすいレスポンシブウェブデザインと、分かりやすく読みやすいコンテンツが制作者として刺激になったと紹介いただき、参加者一同「なるほど」と画面に注目しました。


画像:demoの操作を行う入交さん

失敗談と業務改善に関する工夫の共有

大手ゲーム会社からの受託案件で、直請け業者が開発技術不足によって、開発がスムーズに進まなくなった事例紹介では、少しの間、会場が神妙な空気になりました。
無理な受注によって、トラブルを呼び込まないよう気をつける必要がありますね。

一転して、マークアップを効率化することができる gulp や HTMLテンプレートエンジンの紹介では、CMS を導入しない案件で、業務効率が改善したという話に興味を持つ参加者が多く、「ぜひ、gulp の勉強会をやってほしい」という声も上がりました。


スマートスピーカーとWebの未来

パネルディスカッションの終盤、" Web の未来 "について意見が交わされました。

  • 日本の高齢化が進む中で、地方こそ医療における web の活用を進めるべきでは
  • 思い描いていた家具がすべてネットに繋がる世界が、すぐそこまでやってきている
  • 機械翻訳の性能がどんどん上がってきており、海外との垣根が低くなる
  • 会話形プラットフォームが成長し、webサイトの形態も変化するのでは

などなど参加者一人ひとりから、様々な視点が提供され盛り上がりました。


短期間に多くの製品が発売されたスマートスピーカーについては、参加者の半数以上が既に持っているか、あるいは近日購入予定と答え、音声検索への注目度の高さを感じました。

検索の仕方が大きく変わる中で、web 制作者はどのように対応したら良いのか?という声に対し、アクセスする手段は多様になったとしても、インターネットとデータが存在し続けるのであれば、カタチを変えて web の仕事も存在するのでは?という意見が印象的でした。

WCK は、地方におけるコミュニティの1つのカタチ

最後は、ウェブクリエイターズ高知代表の杉本さんのミニセッション「地方のコミュニティと Web 制作業界とこれからの話(抜粋版)」。
先日の JAWS-UG にて登壇された内容で、実行委員からも WCK での再演要望が挙がっていました。

JAWS FESTA 2017(2017年12月12日)の様子/ASCII.jp
http://ascii.jp/elem/000/001/601/1601971/


画像:会場の様子

フジテックCIO友岡さんの話を取り上げ、組織やコミュニティが同質化・同一化してしまうと変化がなくなり、淘汰されてしまう。新しい血を入れてイノベーションを起こしていくべきという点は、杉本さんの考えと共通のものがあると紹介いただきました。

また、田舎においては、クライアントの事業規模も小さく、web 制作を受託する上ではクライアントに儲けてもらうことが重要になりますが、web 制作者も規模が小さいため、一人ひとりの技量が求められます。

さらには、近い将来、AI・IoTの発展により、コーディングもデザインもAIが行うようになり、視覚的ではないスマートスピーカーのようなデバイスの利用が増えていくことが予想されます。

早く作って、速く運用して PDCA を回すことが求められ、技術中心から結果中心の世界へと価値観が変わるのではないかと杉本さん。

一方で、「コミュニケーション」=人と人の繋がりは普遍ではないか、とも語ります。

今後、WCKは web 制作者とは異なる業界のコミュニティ、ITでもJAWS-UGのようなサーバーエンジニアのコミュニティや kintone、Stripe といった web 制作とは異なる技術やサービスに明るい人たちやハード系の技術者などとも web 制作業界はつながっていくべきではないかという展望を話してくれました。


全てのテーマで活発な意見が飛び交い、進行役が強制的に次のテーマに進めなくてはならないほどの盛り上がりを見せたパネルディスカッション。
2次会でも熱は冷めやまず、深夜まで活発な議論が交わされる内容の濃いイベントになりました。


最後に

Web制作者の皆さん、今年の1年はどんなことに注目しましたか?
2018年は、どんな目標をお持ちでしょうか?
また、皆さんと様々なテーマで語り合いたいと思える、2017年最後に相応しいイベントになりました。

本年も沢山の勉強会が開催でき、多くの方にご参加いただきました。
2018年も、ウェブクリエイターズ高知をよろしくお願いします!

撮影:間嶋 沙知


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